マダムNの純文学小説

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見えないものを探して ―― ティアラ・パンデミックの世界 1 ティアラ・パンデミックとフィネガン・ジャンプ
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1 ティアラ・パンデミックとフィネガン・ジャンプ

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 2019年、新型ティアラウイルスがもたらした伝染病が豪華客船ルビー・プリンス号によってイタリアに持ち込まれたことを皮切りに、新型ティアラウイルス感染症は世界的な大流行となった。

 ティアラ・パンデミックが終息しない中で行われた2020年の米大統領選の頃から、陰謀論者と呼ばれる人々が伝染病並みに増えていった。陰謀論という症状は新型ティアラ感染者に現れる脳症状の一つとも疑われたが、意外なことには陰謀論者に感染者は少なかった。

 選挙選を制して新大統領になった男が開票間際に奇跡的な大量票を獲得したために、陰謀論者たちはその現象をフィネガン・ジャンプと名付け、陰謀論を多彩な内容にしていった。

 陰謀論者たちはフィネガン大統領が不正をしたと信じた。その信念は、収まらない伝染病に飛び火した。彼らは新型ティアラウイルスを作為的なもの、人工的なものと決めつけることを好んだ。

 彼らの信念が呼び寄せたかのような内容の論文が、高名な科学誌サイ・エンストに現れた。その論文が後日何らかの理由で取り下げられたため、陰謀論者たちは死体に飛びつくハイエナさながら、その理由を盛んに憶測した。

 一方では、新型ティアラはシナの動物市場からヒトに感染が広がったともいわれている。

見えないものを探して ―― ティアラ・パンデミックの世界 プロローグ
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プロローグ

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 美しい言葉、わかりやすい喩えで、教えを綾なしたイエスだったが、律法学者に多いパリサイ派と鋭く対立していた。

「あなたたちは悪魔である父から出た者」と断定し、彼らの崇める神は神という名に値しない悪魔とまでいい切った。

 異邦人であるわたしにはこの言葉を比喩的にしか捉えられなかったが、あるいはイエスは、そこまでいいたくなる彼らの行状を知っていたのだろうか。


はてなブログで開設した「マダムNの連載小説」でしたが、ライブドアブログに引っ越してきて、ブログ名は「マダムNの純文学小説」となりました。よろしくお願い致します。

連載16回で眠り込んだ純文学小説「地味な人」はいずれ目覚めるはずですから、それまでお待ちください。昔、織田作之助賞の二次予選を通過した作品で、一応完成を見た作品ではあるのです。更新するのがつらくなっただけ。

その代わりにというわけではありませんが、新連載を始めます。「見えないものを探して ―― ティアラ・パンデミックの世界」というタイトルです。架空の物語かパロディか、はたまた現実の世界での出来事なのか、ご判断はご自由に。


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